イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
そう言うと、ラッドは眉間に皺を寄せた。
「―――君の『大丈夫』は信用がならないな。」
「あら、そんなに信用ないですか?私は。」
テリザが笑って軽く訊くと、ラッドは彼女の頬に触れ、顔色を観察するように左右に傾けて見つめた。
「――いや、そうじゃない。君の『大丈夫』は、『大丈夫じゃない』に聞こえるんだ。」
ドキリとして、テリザは喉を鳴らした。
―――心の中で、血を流している。
そのことを見透かされたような気がした。
「―そんなこと…。」
そんなことない。そう言おうとしたが、言葉が詰まったみたいだった。
彼の深い色をした瞳に、胸をわしづかみにされた気がした。
―――この人に、触れられたい。
衝動的な思いが芽生えた。
テリザは、少しかがみこんでいたラッドに向かって背伸びをし、その頬にキスをしていた。