イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第5章 閉ざされて
テリザはこくりと喉を鳴らした。
「お願い、入っても、よろしいですか?ずっと楽しみにしていたんですもの。」
微笑んで警備員を見上げた。
声は震えておらず、思っていたより落ち着いて見えたのだろうか。
彼は少しの間テリザをじろじろと不躾に見てから、脇に退いた。
「どうぞ。」
「ありがとう!」
テリザはいつになく明るい笑顔を彼に見せた。
ラッドはさりげなくテリザの指に指を絡めて、きゅっと握った。
(よくやった。)
目で言われた気がして、テリザは微笑した。