イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
ドアが開いた。
「テリザ様、明日のお洋服ですが…」
ルナがそう言いながら入ってきたが、ハルの姿を見て、慌てて下がった。
「お話し中のところ申し訳ございません...」
「いえ、ルナさん…いいんです。」
テリザは言った。
話を切り上げたいことを明らかにした口調に、ハルは諦めて口を閉じた。
「…また明日。」
彼が軽く頭を下げて退室する前に、テリザは声をかけた。
「今はまだ…ここにいますから。」
振り返ると、彼女は淡く微笑んでいた。
その表情が何とも言えず悲しげに見えて、ハルは思わず目をそらしてしまった。
―――今はまだ。
その言葉に秘められた意味を、彼は知ることはできなかった。