イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「―――そうか。」
ラッドはどこかまだぎこちない笑顔を見せた。
「ここにおいで。」
え、と目を見開くテリザに、ラッドは微笑みかけた。
テリザはおずおずとラッドの前に立つと、彼はすっと手を伸ばした。
(っ………)
本能的な恐怖に身がすくみ、テリザはびくっと体を震わせた。
「悪い……。大丈夫か?」
手を止めたラッドの声に、テリザは小さく頷いた。
それを見て、ラッドは気遣うように、そっとテリザの頭に手を乗せた。
じん…と頭の芯から痺れたように熱くなった。
「俺の妹でいてくれて、ありがとう。」
柔らかい声に、ずきりと胸が痛んだ。
「………はい。」