イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
そう言ってからすぐにノエルはテリザを見上げ、にこりと笑った。
「それよりもさ、テリザちゃんとの仲を邪魔する奴と仲良くできるわけ、ないでしょ?」
「っ……もう、からかわないでください。」
楽しそうに笑うノエルから離れようとすると、リュカの座っていた席に目が留まった。
(あれ……。)
アイロンのかかった綺麗な白いハンカチが落ちていた。
リュカの使った食器と一緒に回収してカウンターに戻ると、アレクに声をかけた。
「ごめん、アレク、リュカの忘れ物届けに行っていい?多分まだ近くにいると思うから…。」
「いーけどさっさと戻れよ。見つからなかったらまた今度にしろ。」
アレクはテリザから注文票を取り上げて言った。テリザは頷いてエプロンを外すと、早足でドアに向かった。が、出る寸前に思い出したように振り返り、ノエルを見た。
「少なくともリュカは、ノエルさんが嫌いというわけじゃないと思います。ノエルさんのことが心配なのかもしれませんよ?」
ノエルに微笑みかけてから、テリザは出て行った。