イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「…何言ってるの。」
「え?」
「何言ってるのよ。私はあなたが嫌いなのよ。」
「…みたいですね。」
テリザは頷いた。
「ひどいこと言われた自覚ないわけ?」
「え…私は別に…。」
「私が嫌な奴だとか思えばいいじゃない。」
いじけたような声に、テリザは拍子抜けしてしまった。
「あ、あの……。」
その瞬間にブルーベルのドアのベルが鳴ってテリザは八ッとした。
「ごめんなさい、仕事終わりに話せますか?」
「はぁ?」
いかにも嫌そうな声を出されたが、テリザは彼女をじっと見上げた。
「もし…ご迷惑でなければ、あとで。」
彼女はぷいっと目をそらした。
「どうしてもって言うなら好きにすれば?」
「ありがとうございます。」
テリザは頭を下げた。
「じゃ…ブルーベルが閉まるときに。」
「わかったからさっさと行けば!」
テリザは振り返って小さく頷き、すぐそこのブルーベルに走っていった。