イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
それから半日の間、テリザはいつもと変わらずブルーベルで働いていたが、心中では少しそわそわしていた。
リュカを好きな彼女に何を言えばいいのか。自分から持ち掛けたとはいえ、あまり自信はない。人と話すのが苦手なのにあんなことを…と考えれば考えるほど、やめておけばよかったと思えてくる。しかし今更それは仕方ないと気持ちを切り替え、テリザは胸に手を当てて落ち着こうとした。
「テリザ。」
「ひゃっ!」
トンと肩を叩かれ、テリザは飛び上がった。
「どうかしたか?」
「ハルさん…ごめんなさい。」
驚きで速くなった鼓動を沈めようと、テリザは息を吐いた。
「すみません。何でしょうか。」
「ああ…屋敷で言おうと思っていたが、君が捉まらなかったから…。」
ハルは少し声を潜めたので、つられてテリザもハルに近寄った。
「例の…調査のことだが…」
ハルは言いづらそうに口を開いた。