イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
黙ってついてきた女性と、リングランドの広場に向かった。
歩く途中、テリザは聞いてみた。
「お名前を聞いてもいいですか?あ、私はテリザです。」
「あなたの名前ぐらい知ってるわよ。」
憤然と切り返してから彼女は答えた。
「…アリアよ。」
暗い中にも街灯がペーブメントを照らし、なめらかな光を反射している。アリアの整った顔立ちは、何故呼び出されたかと考えているのか、いささか居心地が悪そうだ。
テリザは小さく頷いた。
「アリアさん…リュカのことなんですけど…」
テリザが控え目に言いかけると、アリアはキッと鋭く彼女を見据えた。
「何よ、口出ししたいの?」
「い、いえ…。ただ、あの…アリアさんのことが気になったんです。」
「…..?」
眉を上げるアリアに、テリザは拙く言葉を紡いていった。
「本当は、アリアさんの今の状況が…苦しいんじゃないかと思って。」
「わかったような口を聞かないでよ。」
「…すみません。」
テリザは慌てて言った。