イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
テリザはアリアをそっと見た。
「…自分を嫌になったり、しないでくださいね。」
「あーもう、わかったわかった。全くお節介ね。」
アリアは軽く笑ってひらひらと片手をテリザに向かって振った。
「よかったです。」
「ホント、変わった子。」
テリザは微笑んで少し歩みを早めた。
「じゃ…ちょっと寄るところがあるので、このへんで。」
「っ…ちょっと待って。」
呼び止められ、テリザは振り返って小首をかしげた。
「…本当に、リュカ様とは何もないのね?」
「ありません。」
テリザは笑ってはっきりと答えた。
今度こそ踵を返し、テリザは手を振った。
「またブルーベルに来てくださいね!」
「…ありがと。」
小さな呟きが風に乗って聞こえてきた気がした。