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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第6章 思惑



コツコツと靴音を響かせて町の薄暗い道を歩きながら、テリザは自分の言葉を思い返していた。


『…自分を嫌になったり、しないでくださいね。』


本心からの言葉だった、けど―――



(私があんなことを言うなんて―――ほんと、皮肉。)

自嘲気味な笑みが口元をついた。




自分のことが、憎くて憎くてかなわない。誰に捨てられようと、傷つけられようと、構わない。
それなのに、他の人が自己嫌悪に陥っているのを見ると、悲しくてたまらない。

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