イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「こっ…こんばんは。」
テリザは焦ったまま挨拶をすると、彼は柔らかく微笑んだ。
「こんばんは、レディ。教会に御用ですか?」
―――あの冷たい光は、自分の気のせいだったのだろうか。
そう思うほどに、彼の口調は優しかった。
テリザはホッとして口を開いた。
「はい…。もしかして、もうミサは終わってしまいましたか?」
「そうですね。また今度にでも、いらしてください。」
テリザは戸惑いつつも、頷いた。
さっき見た気がした、彼の冷たさ。ただの勘だし、見間違いだったのかもしれない。