イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「どうしたんだ?」
そっと顎が持ち上げられた。至近距離で目が合い、それどころではないのにドキンと胸が鳴った。
「あの…教会に行ってたんですけど…『レディ』テリザと呼ばれて…何か情報を漏らしてしまったのではないかと思って、心配で……」
「教会に?行ったのか?」
ラッドはますます目を丸くして、それから苦笑した。
「クリスは事情を知ってはいるが…あまり関わらないように気をつけなさい。」
「……?」
アレクもラッドもそう言うが、テリザにはその理由がよくわからなかった。しかし聞こうとする前に、ラッドはテリザをふわりと抱き上げ、上質な椅子に下ろした。
「君が例の件で心配することは、何もない。俺が守るから、心配するな。」
引く声に、ゆっくりと落ち着いていく。それなのに鼓動はますます激しくなっていって、テリザは胸が苦しくなった。