イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
―――違和感。
半ば直感だった。何かが目に入るより先に、さっと背筋が冷たくなった。
(窓…空いてる…?)
ゆっくりと振り返ると、バルコニーに繋がる窓のカーテンが、風になびいていた。
そこで逃げ出せばよかったものを、テリザは激しく動揺していて、冷静な判断ができなかった。
ごくり、と唾を飲み、そっと後ろのドアに手をかけた時―――
「動くな。」
ぴたり、と喉元に冷たい物が押し当てられ、さっと血の気が引いた。後ろから首に腕が回され、ぐっと首が軽く絞まった。