イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「チッ…」
男はメイドから手を離して壁に向かって突き飛ばすと、開きっぱなしの窓に足をかけようとしたが、クリスが彼に追い付く方が早かった。
クリスは一連の素早い動きで彼の首に手をかけると、ギリギリと力を込め始めた。
「うぐっ……」
「あの女をどこにやった。」
男は自由にならない首をわずかに横に振り、知らないと答えたが、クリスがますます彼の首を強く絞めると、彼はパクパクと口を開いたり閉じたりした。
「言え。」
クリスが男の首にかけていた手の力を僅かに緩めた瞬間、男は満身の力を込めてクリスの手を振りほどき、肘をクリスのみぞおちに打ち込んだ。