イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
「わかった!わかった話す!」
その言葉に、クリスが押し付けていた銃をほんのわずかに下ろしかけた時、男はクリスに飛びかかった。
しかし二度も同じ手は通用しない。クリスは男の腕とベルトを掴むと、凄まじい音を立てて床に引き倒した。
「…死ぬか?」
ラッドは素早く歩み寄り、クリスの投げた銃を拾って男の額にぴたりと押し当てた。
男は口元をぐっと結んで二人を交互に見ていたが、やがてぐたりと体から力を抜いた。
「……だ。」
ぼそりと言った男を、クリスは冷たく見据えた。
「はっきり言え。」
銃口がより強く押し当てられ、男は口調を荒げた。
「ポートサイドストリートの3番倉庫だ!」
クリスは膝をついて男の顎を掴むと、目を合わせさせた。
「……。」
少しの間観察してから、クリスは手を離すとラッドをちらりと見た。
「行くぞ。こいつはハルにでも任せておけ。」
「ああ。」
ラッドは軽蔑を込めて男を一瞥してからクリスに答えた。