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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第6章 思惑



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「…です、おそらくは…」


「ありがとう…」


パタン、とドアの閉まる音がして、足音が遠ざかっていく。

しかしもう一つの足音は、テリザの眠るベッドに近づいた。


「……テリザ。」


ラッドの、大きな手がテリザの髪を撫で、頬に優しく触れる。


―――幸せで。

たまらなくて。



テリザは、うっすらと目を開いた。


「ラッド様……?」


「テリザ……。」


二人の間に、視線が交わされた。

何もかも、言わなくても伝わるような気さえした。


―――愛している。


この人を、愛している。


(でも……私は、彼と、一緒には……なれない。)


「ごめんなさい……。」


どれほどの意味を、想いを込めて言えたかは、わからない。


ただ、苦しくて、切なくて。


どうしようもなく、愛しかった。


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