イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第7章 雨の音
クリスはテリザの肩に触れ、そして心中で悪態をついた。
(……この馬鹿が。)
熱のせいで、その体は熱い。しかし彼女の服はびしょ濡れになって体に貼り付いており、冷えていくのも時間の問題だろう。
クリスは黙って彼女の口から体温計を抜くと、眉を寄せた。
38度7分。かなりの高熱だ。
「おい。」
クリスは彼女に声をかけるが、反応がない。余程弱っているようだ。ひゅーひゅーと呼吸もおかしい音を伴いだし、クリスは眉根を寄せた。
クリスは一瞬手を伸ばし、躊躇したが、そうしている場合ではないと判断した彼は、彼女の身体を抱き起すと、ボタンを一つずつ外していき、濡れたブラウスを彼女の体から剥いだ。その下ある、彼女の体をきつく絞め上げたコルセットの紐を解いてしまうと、彼女の上半身は薄いシュミーズ一枚だけの恰好になってしまう。クリスは次には彼女のスカートのホックを外したが、その生地がそれなりに厚かったので、その下の下着は濡れていないことを見てホッとした。
しかし問題は彼女のシュミーズだ。それはぐっしょりと濡れているのを見ると、クリスは舌打ちをした。仕方なく、クリスはその肩から紐を下ろし、脱がせた。白い肌が全て露わになり、そこそこ豊かな胸がまろび出る。クリスはなるべくそれを見ないようにしながら、彼女の体をタオルで拭い、毛布を巻き付けてベッドに下ろすと、クローゼットから自分のシャツを取り出し、彼女に着せた。彼女にはあまりに大きすぎるが、今はこれしかない。