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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第7章 雨の音



   ***


さむい。さむい。
くるしい。

テリザはぶるぶると肩を震わせ、苦しげな呼吸を零した。


―――ああ、ごめんなさい。

ごめんなさい、ラッド様。
ごめんなさい……愛しいあなた。


胸が、ずきずきと痛む。げほげほと痛ましい咳が止まらない。

こんな苦しい夜には、いつも思い出す。

……否。
いつも、覚えている。


あの人に犯した、罪。

自分の愚かしさ。

そしてあの人の、苦しそうな顔。


そしていつも、零れそうな涙を我慢する。


―――ごめんなさい。

あなたを苦しめて、ごめんなさい。
産まれてきてしまって……ごめんなさい。



つと、テリザは肩と、背中にぬくもりを感じた。

背中をさする、大きな手。

(誰………?)

しかしテリザには、目を開く気力もなかった。こんな優しさは自分にふさわしくないと思うのに、甘えてしまいたい…との弱さが顔を出してしまう。

(ごめんなさい………。)

テリザはそのぬくもりに身を任せ、とろとろと眠りに落ちていった。

一抹の罪悪感と、自己嫌悪を胸に留めたまま。



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