イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第7章 雨の音
自分で払います。給料はあります。そう書いてクリスに見せると、クリスは深く息を吐きだした。
「お前は、俺がそんなものはいらないと言っても聞かないんだろう?」
何故だかテリザは、ドキリとした。
自分が、好意というものに嫌悪感しか湧かないということに、もし仮に彼がいらないと言ったら罪悪感と不安に悩まされ、狂いかねないということまで見透かされている気がした。事実彼には、わかっていたのかもしれない。請求するのが優しさであると、彼にはわかっていた。
「……仕方ないな」
テリザがはっきりと意志を伝えるように頷くと、クリスは根負けしたように言った。