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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第7章 雨の音

クリスは終始無言だった。元々口数の多い方でもない。加えて、テリザも喉をやられているため喋ることがないので、自然と沈黙が落ちる。

外では、雨が降り続いている。気圧が低いためか、テリザは陰鬱な気分で横になると、ぼんやりと窓の外を眺めた。


「…寝てろ」


いつまでもテリザが目を開いているのを見かねてか、クリスは重たい口を開く。


「……」


テリザは、応えない。眠ると、悪夢を見ることは分かっていた。いつまでも眠らないことなど不可能だが、少しでも眠る時間は短くしたかった。やがてテリザが寝返りをうってクリスに背を向けると、彼もそれ以上は何も言わなかった。

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