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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第7章 雨の音



久しぶりに、日常に戻った気がした。舞踏会や裏カジノへの潜入も、まるで遠い夢のことのようだ。


「そういえば、今日ハルさんは来ないの?」


ラッドは滅多にブルーベルに顔を出さないが、ハルが来ることは決して珍しくない。心の準備をしておきたくて、テリザはアレクに聞いた。


「ああ…午前中にラッドとハルが来るって言ってたな」


ラッド様も?と声に出しそうになって、テリザは慌てて口を噤んだ。


「そう。わかった」


なるべく平然と返したが、装えていたかは分からない。アレクの視線から逃げるようにして、テリザは彼に背を向けた。


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