イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第9章 追憶
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結局、日ごとに重たくなっていく枷に耐え兼ね、テリザは一人ですべてを母に打ち明けた。
母は努めて冷静にふるまい、テリザから話を聞き出すと、母から父に、父から兄に話がいった。
父は母に比べて、そのことに無関心だった。ただ敬虔なキリスト教徒であった両親は、この罪に対しても神の許しはもらえると、説いた。
しかし同時に両親は、テリザに諭した。
決して、将来の結婚相手にこのことを話してはならないと。そのことが約束できないなら、結婚してはならない、と。
これは、神に許しを請わねばならないことである。罪である。引け目を感じなければならないことだ。相手に受け入れてもらえないことなのだと、テリザは少しずつ、少しずつ、無意識に刷り込まれていった。