イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第3章 舞踏会
『...テリザちゃんは、あんまり心配しないで。これは...ラッド様なりの、ちょっとした悪戯だと思ってればいいよ』
(......貴族の人の悪戯ってこういうものなの?)
リュカはにこっと笑った。
『ハルと俺で、ちゃんとテリザちゃんをサポートするから』
(ハルさんやリュカが一緒に来てくれるのは、心強いけど......)
『どうして、私なんですか...?』
(舞踏会に乗じて屋敷に入り込むなら。他にも色々方法があるはずなのに)
『理由は簡単だ。』
テリザが聞くと、急に、鼻先が触れそうなほど間近に、ハルが顔を寄せた。
『な、何でしょう......?』
『舞踏会に出席し、屋敷を自由に動き回り...そして、多少の粗相をしても咎められないのは、魅力ある令嬢のみだからだ。』
(え......っ)
ハルに間近で見つめられ、目をそらそうとするが、車の中では逃げ場がない。
済んだ瞳がゆっくりと近付いた。
(ハ、ハルさん......?)