イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第3章 舞踏会
「こんな所にいた...!」
(え...?)
慌てたような声に振り向くと、リュカがそばへ駆け寄って来るところだった。
「リュカ......!」
「ハルと探し回ってたんだ。会えてよかった」
「...っ...ごめんなさい、心配かけて…コインは、なんとか見付けられたよ」
(他にも...なんだかいろんな事があったけど)
テリザが、あの人が去っていったであろう広間に目を向けたが、それらしい人影はない。
(……あの人は……誰だったんだろう。)
寂しげな眼差しに気づいたのか、リュカはテリザの顔を心配そうに覗き込んだ。
「......どうかした?」
「ううん、何でもない...」
(どうして......さっきの人は、私を助けてくれたんだろう)