イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第3章 舞踏会
(...ラッド様が冗談半分で、こんなことを言ってるようには見えない)
テリザは驚きのあまりぼんやりする頭を働かせた。
(私は…ここにいたらいけないと思う…けど…...今夜コインを持ってこられたのは、奇跡みたいなものだったし...カップを割った責任は、ちゃんと自分で取りたい)
真っ直ぐな視線を見返しながら、色んな考えが頭の中で渦巻いていく。
(昨日、ティーサロンに来てアレクに出会った時には...私はただのウェイトレスで、常連客のノエルさんに応対するだけで、手いっぱいだったのに...ハルさんとリュカと一緒に、舞踏会へ行くことになって...それから...敵の貴族の屋敷に乗り込んで、ユアン様にも出会った...)
出会ったいろんな人の顔が思い出され、テリザは目を伏せた。
(令嬢になれば、もっと...ラッド様とローガン様が治める両家の対立に、巻き込まれるかもしれない)
それに――