イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
(あっ……。)
テリザは苦しげに表情を歪め、迫り来る症状をやり過ごそうと喉を鳴らした。しかし心臓が不規則に収縮するような感覚とともに、指先に冷たい痺れが走る。
「はっ…」
息を吐き出してから深く吸い込むと、喉の奥がひくひくと痙攣した。
―――いつもの、発作だ。だいぶ良くなったと思っていたのに……。
ドレッサーに手をついて、胸に追い来る感覚を我慢した。
「はぁ…はぁ…」
荒い息を繰り返すうちに、徐々に波が引いていくように発作がおさまっていく。
テリザはぐったりとドレッサーにもたれかかり、後引く眩暈をぼんやりと感じていた。
「テリザ、遅くなってすまなか…」
ドアを押して入って来たハルが息をのむのが分かった。重たい足音がして、身体を抱き起こされる。
「テリザ!!!」
ハルの焦った表情が目に映る。