イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第2章 ティーカップ
(このお店のウェイター...なのかな? すごく整った顔立ちの人だな)
「何か用か?」
「あ......私、お客ではないんです」
テリザは答えた。
「え?」
片眉を上げる彼に、テリザは軽く頭を下げた。
「今日からここで働くことになっている者です」
「お前が......?」
目を瞬かせて、彼の口から呆れたような呟きがこぼれた。
「店に入って早々、人にぶつかって
呆けてるようなヤツが...ウェイトレス?向いてるとは思えねーけど」
「………。」
テリザは少しムッとして目をそらした。
(……この人、ちょっと苦手かも。)
「見たところお前、この街の人間じゃなさそうだな」
「...はい、今朝、今まで暮らしていた隣町から出て来たばかりです」
テリザは答えた。
「この街、 『リングランド』 はとても素敵な街ですね。ここで働くのが楽しみです」
テリザがそう言うと、彼は再び眉根を寄せた。
「...お前、リングランドがどういう街か知ってんのか?」
「え...? それは...」