イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
ハルが部屋を出ていくと、まだ微かに発作からの眩暈が残っていたテリザは、重たい身体をベッドに沈ませた。
(ラッド様は可愛がってくださる…けど…)
失う、怖さ。
他の人に…そして彼にも、自分は歩み寄ることはできない。
身を引き裂かれるような恐怖と絶望感が蘇りかけ、テリザはふるりと身体を震わせた。
(ごめんなさい…ハルさん。)
本当の家族のようになんて、なれない。だけど壊すのは怖いから、今は……今だけは。このままでいよう。
胸にしこりを残した決断を思い、テリザは目を閉じた。