イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
「えっ、でも…」
断ろうとしたが、彼はコップをテリザの手に渡し、彼女の手の上から自分の手で包み込んでしまった。
「温まっておきなさい。仕事にもまだ慣れてないし、疲れてるだろ?」
「あ、りがとう…ございます。」
トクンと胸が鳴った。
(ばれてたんだ…)
温かいコップから手に熱が伝わり、少しホッとした。そっとラッドの顔を盗み見ると、彼は既に書類に目を落とし、真剣な表情になっている。
(「男の人」…なんだなぁ…。)
たぶん、自分とは10ぐらいは年が違うだろう。侵入の計画を話された時の余裕の表情。仕事をする彼の真剣な顔。そして優しい微笑み。
片手を口元に置き、書類に目を通して佇む姿だけでも、大人の色気を醸し出している。
(なんだかすごく…絵になる方。)