イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
一口、ホットミルクを飲むと、とろけるような甘さが口に広がった。
(はちみつ…?甘いもの、お好きなのかな。)
ラッドから甘いものは想像できなかったので、なんだか可愛く見えてテリザの口元には笑みが浮かんだ。
「――テリザ。」
ふいに低い声で名前を呼ばれた。
「はい。」
ラッドの顔を見上げると、オリーブ色の澄んだ瞳と視線がぶつかった。
彼はするりとテリザの頬をなでた。
(ん……)
大きな手の感触に、テリザは目を細めた。
「君は、俺の可愛い妹だ。ここでは、俺やハルを家族のように思ってくれていい。」
「ラッド様…。」
甘い手つきで髪をなでられ、自然と口元が緩んだ。
「ありがとうございます…。」
「…その笑顔は、素敵だよ。」
――え。
テリザは聞き間違いかと思ってラッドを見上げたが、相変わらず彼は微笑んでいる。
「君は…」
ラッドが何か言いかけた瞬間。バサッと音がして、何かが外の夜空からテリザに向かって飛んできた。
「ゃっ……!」
とっさに動けず、テリザが身をすくませると――
「っ、テリザ!」
ぐっと抱き寄せられ、気がつくとテリザはラッドの腕の中にいた。