イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
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「っ…アレク、おはよう!」
「おー。遅せーな。」
ブルーベルのドアを押して入ると、開口一番にアレクに言われた。
今朝、メイドのルナに呼ばれて目を覚ましたテリザは、既に時間がブルーベルの出勤時刻ぎりぎりになっていることに気付いて驚愕し、慌てて身支度をして玄関に向かった。朝食を食べる間もなく、ラッド達とも顔を合わせていない。
「…ちょっと、寝坊しちゃって。」
結局あの後、ラッドに部屋に送られてからベッドに入り眠りにつくことはできたが、時間はあまり足りていなかった。
正直に答えると、アレクはピンっとテリザの額を指ではじいた。
「いたっ」
「昨日遅くまで何してたんだ。寝不足なんじゃないのか?」
「えっ…なんでわかったの?!?」
「クマ。できてる。」
アレクに言われ、テリザは慌てて目の下をこすった。
(そんなにわかりやすかったかなぁ…)
すると途端にアレクは吹き出した。
「バーカ、嘘だ。っていうか、やっぱり夜更かししたのかよ。」
「うっ…少しね。」
寝付きも寝起きも悪いのは、困りの種の一つだった。
「ちゃんと寝ることぐらいしろ。仕事もろくにできねーうちに寝ぼけられたら困る。」
「それはしないよ!大丈夫だよ、私は。」
テリザは笑った。