イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
急にリュカのいる一角が賑やかになり、テリザが戸惑っていると、溜息が聞こえた。
振り返ると、アレクが先程と同じ呆れ顔で立っていた。
「あいつが来ると、大抵ああなる。覚えとけ。」
「は、はぁ…。」
注文の品をトレーに乗せて騒がしいテーブルのそばに戻ると、一人の女の子がリュカにすり寄った。
「ねーえ、お仕事の後、アパートに行ってもいいかしら?」
「あら、抜け駆けはずるいわよ。」
彼女らが邪魔をして、テーブルにトレーが置けない。どうしようか迷うっているうちに、リュカにくっついていた子が振り返ってじろりとテリザを睨んだ。
「何?見ててそんなに面白い?」
「…!そんなつもりじゃないです…」
「いいからそれ頂戴。」
乱暴にトレーを掴まれ、皿が揺れた。
「っ……」
ガシャンと大きな音を立てて、ソーサーがテーブルにぶつかって割れた。