イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
「え?」
よく聞こえずに聞き返すと、彼は口を開いた。
「お前なぁ!もう少し…」
「アレク、何大声出してるんだ?」
「…!」
アレクは口をつぐんだ。
「ラッド様…!」
彼はカウンターに入り、歩み寄った。
「もうそろそろ昼休みだから来たんだが…どうしたんだ?」
真面目な顔で尋ねられ、テリザは慌てて口を開いた。
「あのっ、何でもないんです。」
「関係ねーだろ。口出しすんな。」
(アレクっ…!)
テリザが言い訳を考える前にアレクが言い返した。
テリザはその乱暴な言い方に、背筋に冷汗が伝ったが、ラッドはさほど気にしたようでもなく、かわりにテリザの肩を抱き寄せ、さりげなくアレクから引き離した。
「っ…」
「――あまりうちの子をいじめるんじゃない。」
「うちの子って、お前なぁ…」
「テリザ、行くぞ。」
「あ…」
彼にそっと抱き寄せられた。
「昼休みの間、借りてく。」
「変なところに連れてくんじゃねーぞ、おっさん。」
(っ…またおっさんって…)