イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
落ち着かない気持ちきのまま、テリザはデザートプレートに目を落とした。
「…!」
ふわふわのパンケーキ生地の上には、たっぷりと絞られた生クリームに、赤色のラズベリーやストロベリー、青紫のブルーベリーが散らばされ、トロリとしたフルーツソースとチョコレートソースが模様を描いている。
子供のように目を輝かせるテリザを、ラッドは微笑ましそうに見つめた。
「いただきます…。」
興奮していることに恥ずかしくなり、控え目に言ってから一口食べた。
「わぁ…!」
生クリームとパンケーキと、絶妙な甘さのベリーの風味がミックスして、口の中でとろけた。
(おいしいっ…!!!)
「っー!っー!!!」
言葉にならず、ただ我慢できないという表情を浮かべるテリザに、ラッドはくっくっとおかしそうに笑った。
「っ笑わないでください!」
「ごめんごめん。つい、な。」
テリザは恥ずかしがって抗議の声を上げたが、ラッドはふっと優しそうに笑った。
「やっと、その顔が見られた。」
「え...?」