イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
「ずっと緊張してたみたいだからな。やっと、ちゃんと笑ってくれた。」
(…うそ。)
うまく笑えていると思っていた。それが、気づかれていたなんて―――
(緊張…ともちょっと違うかもしれないけど。)
だけど、彼に違和感を感じさせていたのだろうか。
またなんだかいたたまれない気持ちになったが、テリザはそれを押し込めて微笑んだ。
「ラッド様が素敵だから、そばにいたら緊張してしまいます。」
冗談めかして言うと、ラッドはまた笑った。
「ありがとう。テリザも素敵だ。」
ポンと頭をなでられた。
「さすが、俺の自慢の妹だ。」
―――妹。
それすらも自分にはもったいないと思うのに…なぜか少しだけ、胸が苦しかった。