イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
(あれ…)
コーヒーカップをテーブルに置いたラッドが、チラチラとメニューを見ていることにテリザは気づいた。
(そういえば、昨夜のホットミルクって…)
―――すごく甘かった。
「もしかしてラッド様って甘いものがお好きなんですか?」
昨夜も感じたことを聞いてみると、彼は目を丸くした。
「えっ」
驚いたように瞬きをする彼の表情をテリザはさりげなく観察した。
(本当に図星だったのかな。)
「変だろ?男のくせに甘いものが好きだなんて。」
ラッドは苦笑したが、テリザは微笑んで首を横に振った。
「そんなことありません。人はそれぞれですから。」
(でも、ちょっとだけ…可愛いな。)
「よかったらラッド様も少しどうぞ。」
テリザがプレートを差し出した。
「いいや、俺はいい。君のために注文したんだからな。」
「まぁそう言わずに。おいしいですよ?」
譲らずテリザが言うと、ラッドは楽しそうに笑った。
「…姫がそこまで言うなら、仕方ないなー。」
「それじゃあ…」
ラッドは少し首を傾けてテリザの顔を覗き込んだ。
「君が食べさせてくれないか?」