無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「だからなんだよ。」

また同じ返事。
そして後に続ける。

「俺たちに何が出来るって？
今から社長室怒鳴り込む気か？」

「…そんな事言ってないでしょ！
考えれば他にも策が…」

「あぁ？例えばどんな？」

「だからそれをっ……！」

「なんでアイツが出来ないって思うの？若造だから？」

「…っ」

(じゃあ、どうすりゃいいってのよ？このまま指くわえて見てろって！？)



「任せてみればいいじゃん。
ソイツが出来るかどうかなんて、やってみなきゃわかんねえよ」


アタシの心の声に答えるように田出が答えた。


あっさりと答える田出の様子に開いた口が塞がらない。

(なんて成り行き任せで適当なの…。
それって結局潰れていくのを見ていろって言うのと同じよ！！)


…そう思うのに、
心の何処かで『そうね、そうかもね』と納得してるアタシがいる。

田出の言葉は、何故か私の心の奥深くまで入り込んでくる。

…何でかしらね？


ﾋﾟｺﾋﾟｺ…
　ぁっ、ｫﾆｨﾁｬﾝ……



矢木はどうやらアタシ達が話してることをいいことに、ゲームをやっていたようだ。


「てめー矢木！！」
「ひぃっ！」
矢木からケータイを奪う。

「ははっ、出た！ハセオ君！」

それを見て田出がげらげらと笑う。
「ハセオ」、というのは田出と八木が考えた、アタシの男らしい時のあだ名。

アタシはお仕置きとして、背の低い矢木が届かないロッカーの上にケータイを乗せた。