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距離

第1章 距離3

Nside

弱っているところに付け込んでいるようで気が引けるけど、そんなに帰りたくないオーラだしてたら、持って帰りたくなるよ。

誘ったら案の定、乗ってきた。
でもまさか、泊めてというとは思ってなかったけど・・・

躾をうけたおぼちゃま、靴を礼儀正しく並べて、リビングに入ってくる。

櫻「おお部屋広い、芸能人~」

アンタもでしょ、俺よりいい部屋に住んでるはずだよ。彼女の痕跡があるから帰りたくないってことでしょう。

ニノ「なんか、飲む?あ、酒以外ね。お茶ぐらいしかないよ。」

櫻「お茶で。ありがとう。ごめん、急に泊めてとか言って。彼女とか来ないの?」

ソファに座る翔ちゃんにペットボトルのお茶を渡す。

ニノ「彼女いない。だから誰も来ないよ」

櫻「そうなんだ、ふ・・・ん」

今はいない、昔は彼女がいたけど、今はめんどくさい。こんな時間がバラバラな仕事してて、まともに付き合うには難しい。休みも少ないし、少ない休みを誰にも邪魔されたくない、かまってやらないと拗ねるしさ。

ニノ「お風呂入るなら、お先にどうぞ。部屋は向こうにあるからそこ使って。服だしておくわ」

櫻「本当にありがとう・・・、何でとか理由は聞かないの」

ニノ「聞いて欲しいの?」

櫻「いや、別に・・・」

静かなリビング。いざ、二人になると会話に困る。
少しでも自分の気持ちを知られないようにと話す言葉も選んでしまう。

ニノ「明日、何時?」

櫻「昼から、午前中に歌詞書かないと・・・」

ニノ「お互い忙しいね、体調悪いんだから早く寝たら」

櫻「お風呂貸して」

ニノ「寝る部屋と風呂の場所教える。」

他人の家が珍しいのか、すごい色々見てる。廊下を出てすぐの部屋に案内すると・・・

櫻「ここって、誰がいつも使ってんの?」

ニノ「親とか、友達が来たとき」
六畳ほどの部屋にベッドだけ。
前の彼女が置いていったベッドとは言えない。

櫻「そうなんだ、彼女が来たときようかと思った(笑)」

ニノ「違うわ、彼女いねーし」

櫻「あっ、彼女が来たら自分のベッドで寝るか(笑)、ニノが彼女ととか・・・考えられない」

ニノ「やめろや、想像すんなや」
そういって、翔ちゃんのお尻を蹴り上げる。

櫻「痛っ、やめろや」

いつも通りの笑顔になった。

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