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距離

第1章 距離3

Sside

ニノが泣くほど、俺は情けないのかな・・・

ニノ「なんだよそれ。ダメだわ、気持ちが抑えられない・・・」
服を着たままニノが湯船に入ってくる。

櫻「ニノ、何??ちょっと服服・・・」

ニノ「俺、翔ちゃんが好きだったんだよ。そんな女と付き合うために諦めたんじゃないよ。」

濡れた服のまま、俺に抱き着いてきた。少し冷えた体のニノ。
俺よりも体が小さい、華奢な体、
細い腕、今俺はニノに抱きしめられている。

状況が飲み込めない。
何でニノが好きなの??
彼女の話してたんじゃないの?

櫻「どういうこと?」

ニノ「ずっと好きだったんだよ。言うつもりなかったのに・・・」

櫻「え、好きってどういう意味・・・」

ニノ「メンバーだし、ダメだってわかってるよ。恋愛対象として」

肩越しに小さいな声でニノがしゃべっている。
今までそんなそぶりとか見たことない。ずっとっていつから・・

ニノ「ごめん、本当にごめん。
混乱させたわ。今のは忘れて」

気まずそうにニノが俺から体を離していく。濡れた服がニノの体に張り付ている。濡れた子ネズミみたい。まるで酷いことをしたのが俺のように見える。

櫻「ニノ、ニノ、忘れることなんかできるかよ。」
そういってニノの肩に手をかかけて、顔を覗き込む。

ニノ「はは、ごめん。気持ち悪いこと言って」
泣きながら、潤んだ目で申し訳なさそうに俺と目を合わさない。

櫻「ニノ、俺別に気持ち悪いとか思ってないよ。びっくりはしたけどさ」

ニノ「いいよ、こんな時まで気を使わなくても。俺が悪かったわ」

櫻「聞いて。昨日、彼女と別れたばかりでまだ気持ちの整理ができてない。整理ができたらちゃんと考えるから」

ニノ「ごめんね、翔ちゃん。こんなつもりじゃなかったんだ。ごめん。」
あまりに謝るから、今度は俺からニノを抱きしめた。

何でこんな状況になってるんだろう、でもニノの優しさは痛いほど伝わってくる。
どちらの気持ちでも俺を好きって言ってくれる人がいてよかった。
そう思うと俺も泣いていた。

ニノ「恋愛って大変だな・・・」

そういって俺はニノの頭を優しくなでていた。






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