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幻想世界☆

第11章 迫り来る闇②

・横尾side

翌朝、気だるさの中で目を覚ました俺は。

あの執事の言葉を思い出していた。



執事「このままでは、あと数日もしないうちに待っているのは死のみです」



死ぬというの?この俺が。



執事「現実の世界とこちらの世界は繋がっています」

横「そうみたいだね」

執事「やはり気づいていたのですか」

横「俺だけじゃない1人を除き、みんな知っている」

執事「なら話は早い、どちらの世界でも構いません、お抱きなさい」

横「なっ」

執事「あなた方の世界でなら血を吸わなくともするだけで吸ったのと同じことになります」

横「なんだって!?」

執事「宮田さまはもう既になさっていること」



あのふたり現実の世界でもやってしまったのか。



執事「でなければ、徐々に身体が弱っていき」

横「死ぬと?」

執事「はい」

横「くっ」

執事「何をためらっているのです」

横「俺は」

執事「命あっての人生ではないのですか」



偉そうに、分かったような口きくな。



執事「よいですね、なるべく早くにするのです」



仕事に行かなくっちゃ…



横「おはようございます」

渡部「あれ?顔色が悪いんじゃない具合よくない」

横「そんな事ないです」

渡部「だったらいいけど、バラエティーは体力勝負だし気をつけた方がいいよ」

横「はい」



やはり、元気がないように見えるのかな。



玉「わた」

横「裕太」

玉「どうかした?」

横「いや」



が、裕太にだけは気づかれないようにしないと。

幸か不幸か―

俺があまり喋らなくても、不自然には感じられず。

収録は難なく終了し、また夜を迎える。



執事「強情な方ですね」



そんな声が部屋の中で聞こえたような気がした。

まだ、寝ていないのに。

あの執事、こっちの世界での俺達の様子も伺っているのか。

でなければ…

“宮田さまはもう既になさっていること”

あんな事を言うわけがないし。

それでも眠ったら―



玉「わた今日は何をする」

横「そうだなぁ」



裕太の笑顔がそこにはあり



横「今度さ」

玉「んっ?」

横「いや、なんでもない」

玉「なに?言ってよ」



現実の世界で、2人きりのデートがしたい。

それが俺のほんの細やかな望み。




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