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幻想世界☆

第16章 壊れてく予感

屋「滅びたはずの狼の姿になってな、フッ」

河「あれは驚いた」

屋「夢魔は、夢を作り出すのかと思っていたが違っていた」

ニ「えっ」

塚「俺も、聞いてビックリしたけどね」

山「ある1人の子供の夢を乗っ取り自分の世界を作り出したんだって」



ある子供?



屋「知ったら驚くぞ」

ニ「俺達の知っている奴ってこと?」

戸「北山だよ」

ニ「うっ、嘘!?ミツの」

河「あの夢は、本来あいつが子供の頃に見ていた夢だったのさ」

塚「それをゼロムが奪って自分の世界を作った」

屋「1年前、偶然なのか?それとも必然なのか」

山「白い月が最後に見せた希望の光りだったのか」


河「あいつはとつぜん俺達の前に現れ」

五「そのとき、あの世界でいう過去つまり今のそこへ飛ばされて来たってわけ」

戸「最初は記憶がなく俺達も大変だったけどさ」

塚「飛ばされる前、自分達が見た世界のようには絶対にさせない俺らはそう誓い合った」

山「けれど見ているだけで力はない」

橋「目を覚ましたら、忘れてしまうから」

ニ「なぜ?」

屋「本来は、呼ばれるべき者じゃなかったからだろ」

戸「でも1つだけ出来る事があったんだ」

ニ「なに?それ」

屋「お前を呼ぶことだよ、二階堂」

ニ「えっ」

五「そう、お前は俺たちが呼んだのさ」

屋「銀色の狼の力を借りてな、フッ」



銀色の狼?



戸「が、それによってあいつもそのときの記憶をなくし」



分かった、あいつって誰の事なのか。



屋「お前は、俺らの希望の光り」

ニ「俺が?」

戸「だから手を貸して欲しい」

河「お前にしか出来ないんだよ」

屋「あの世界へ行ったなら幻想館へ来い」

戸「待っているから、ニコッ」

山「約束だよ」



屋良さん、みんな…

残留思念っていうの、前に聞いたことがあるけれど。

それと似たような想いが、この世界にいる俺達の周りを。

まるで護るかのように取り巻いていた事を知ったのは

全てが終わったあとだった

ここでは、人の心のことを“スピア”と言うらしい。

この日を境に―

塚ちゃんと行動を共にするようになって暫く経った頃

俺は、それを知る。

スピア、魔と対峙する為に絶対に必要な人間の心の中で芽生える“絆”の源。




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