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第2章 第一章 日常的に。
「……ッ、これは何だよ……」
風呂から上がり、翔と入れ違いで部屋に入ると、俺は部屋を見て絶句した。
机の上に、当たり前のようにぽんと置かれているローション。
ベッドの上の枕は見事に床に放り投げられ、代わりにティッシュが置かれていた。
そして、床には手錠やローター、バイブetc.
あいつを見損なったよ……。
変態は変態でも、ここまでの変態だとは思ってなかったよ。
もう嫌だよ。
俺もう嫌だよ。
すると、後ろからガタンと物音がして、俺は飛び上がった。
ギギギ、とロボットの様に後ろを振り向くと、そこには凄い笑顔でグラスに入った紫色の液体を手に持った翔がいた。
「ふ、風呂早かったな。それ、何だ……?」
「これですか? 店長が大好きなぶどうジュースですよ」
その言葉に、俺の方がぴくんと跳ねた。
「何、ぶどう? 俺にくれるのか!」
翔はにこりと不気味に微笑み、俺にグラスを手渡してきた。
俺は目を輝かせながら、グラスの中の液体を口に運ぶ。
それは確かにぶどうジュースだった。
この濃さは……紫玉か? いやいや、でもこの甘味はサニールージュ? いや、それだったら甘くなりすぎるな。
この鼻から抜けるようなすっきり感はひょっとしてビアレスか!?
テンションMaxでジュースに使われているぶどうの予想をしていると、暫くして体に異変が現れてきたような気がした。
