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第2章 第一章 日常的に。
体が、熱い。
そう思った頃には既に、目の焦点が思うように合わず、頭がふわふわして浮いているような感覚に襲われていた。
「どうかしたんですか?」
笑いながら翔が俺に差し伸べる手に、俺は情けなくもふらふらとよろけながらすがり付いた。
「何だ、これ……」
ふう、と熱い息を吐き、手を握り直すと、翔の腕の力が急に強くなった。
何も抵抗出来ないままに、ぼやけた頭でされるがままになっていると、翔は整った唇を口付けて来た。
熱くなった唇に翔の冷たい唇が重なり、いつもとはキスされているという実感か違う。
いつの間にかそのキスは、深いものへと変わっていった。
俺、どうしたんだろう。
いつもならば、こんなにこいつの口付けを簡単に許す事なんてなかったのに。
口が離れ、俺は熱くなった顔で翔を見上げた。
「店長……鱗さん。今の顔、凄くエロいですよ」
翔の爽やかな顔は、不気味な笑みへと化していた。
