
Welcome Bar
第2章 第一章 日常的に。
「それが、ここのバーに来てる人なんだよね。ほら、今あそこに座ってる」
白崎さんの視線を辿ると、そこには翔さんと楽しそうに喋っている爽やかな青年がいた。
うわぁ、いいなぁ。好きな人なんて。
自分は結構奥手で、合コンなんて行った事もなく、好きなんて相談した事もない。
羨ましく思いながら、話をする。
「いいじゃないですか~。僕なんて全く男っ気無しで」
「えー、もてそうなのに」
苦笑いしながらさっきの青年の方を見ると、青年はもう翔さんと話すのを止め、一人でコーヒーをすすっていた。
それを見て、僕は白崎さんに話しかける。
「行って来たらどうです? 彼、一人で寂しそうですよ」
驚いた表情で、白崎さんがごくりと唾を呑み込む。
白崎さんが緊張しているのが分かるような気がした。
みるみる赤くなっていく白崎さんの顔に、思わず笑いが漏れる。
「でもっ……行って、みるよ」
白崎さんが立ち上がり、ちらちらと僕の顔を振り向きながら青年に近づいていく。
やがて、二人は楽しそうに話をし始めた。
うまくいきますように、と呟きながら、僕は仕事に戻った。
