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10分屋【ARS・N】

第11章 先に生まれただけの僕たち

それから後も、鳴海校長から秘密のメールアドレスに毎日メールが来た。

「もう一度、会って話がしたい。」

そういう内容だったが、俺は無視し続けた。

そのうち、あきらめるだろう。

そう思っていた。

しかし、鳴海校長からのメールは途切れることはなかった。

そして、だんだんメールの内容が変わって来た。

学校の様子を写真付きで送ってくるようになった。

授業風景、休み時間の校庭、体育祭、文化祭の様子。

二宮「校長って暇だな。毎日毎日ご苦労なことで。」

今日も届いたメールを削除しようとして、手が止まった。

添付されてた写真は、野球部の練習風景。

本文には、秋の大会の予定が書き込まれていた。

二宮「………。」

放課後のグランドで、部員たちが声を上げて練習している風景を思い出した。

汗を流してランニングし、泥にまみれてスライディングしている。

京明館高校野球部は弱小だったが、部員は楽しそうに練習していた。

俺は、学校帰りにそれを横目に歩いて帰っていた。

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