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10分屋【ARS・N】

第11章 先に生まれただけの僕たち

鳴海「二宮さん、見に来てくれたんですか!?」

鳴海校長はすぐさま部員たちに集合をかけた。

鳴海「おい、みんな! 先輩が練習を見に来てくださったぞ!」

その声を聞いて、部員が一斉に俺の前に集まった。

「あれ、ニノじゃん! ニノ、京明館の卒業生なの?」

「オレ、知ってる! でも野球部だったっけ?」

鳴海「こら、先輩に向かってなんだその口のきき方は! 二宮先輩は、野球部ではないが、経験者だ。練習を見に来てくださったんだ。」

大勢に注目されて、俺はバツが悪くなった。

二宮「いや、ちょっと通りかかっただけだから。」

その場を立ち去ろうとする俺に、鳴海校長が声をかけた。

鳴海「二宮さん、よかったら一緒に練習しませんか? 車は、学校の駐車場に入れてください。」

その声に、部員たちが歓声をあげた。

「一緒にやりましょう、二宮先輩!」

俺は、引っ込みがつかなくなって、仕方なくグランドに向かった。

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