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10分屋【ARS・N】

第11章 先に生まれただけの僕たち

その後、部員に混じってノックやバッティング練習をした。

バッティングでは、甲高い音を響かせ白球が青空に吸い込まれていくのを見てると、俺の心も空まで飛んでいる気がした。

高校時代はもう芸能活動をしていたから部活は無理だったけど、もし野球部に入ってるたらこんな毎日だったのかと想像した。

仲間と汗を流し、泥だらけになって走って打って取ってナイスプレーをしてもエラーをしても明るく声を掛け合う。

そんな三年間を過ごす高校生活もよかったのかもしれない。

練習が終わると、マネージャーがかけ寄り俺にドリンクとタオルを差し出してくれた。

二宮「あ、ありがと…。」

俺は素直にそれを受け取った。

マネージャーは俺に一礼するとグランドに駆けて行き、トンボを手にグランド整備を始めた。

鳴海「二宮さん、お疲れ様でした。お茶でも入れますので、よかったら校舎の方へ。」

俺は鳴海校長に連れられて校舎の中に入った。

「え、ニノ?」

すれ違う生徒たちは俺を見ると驚いて振り向いた。

俺は微笑んで手を振ると、みんなキャーキャー喜んだ。

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