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10分屋【ARS・N】

第11章 先に生まれただけの僕たち

廊下を歩いていると、土曜日なのに授業をしているクラスがあった。

二宮「今は、土曜日なのに授業あんの?」

鳴海「ああ、特進クラスは土曜日も午前中は補講があるんですよ。予備校に行かなくても、大学受験に対応できるように。」

二宮「へー、俺の頃はそんなのなかったな。ま、俺は普通クラスだったけど。」

そんな話をしていたら前から長髪パーマの男性教師がすごい勢いで走って来た。

河原崎「校長、 またバスケ部の保護者からクレームですよ! 校長が連れてきたコーチのせいで…!」

鳴海「河原崎先生、落ち着いて…! 今、来客中ですから。」

河原崎と呼ばれた長髪パーマの教師は、ハッとして俺を見た。

河原崎「え、嵐!? あ、うちの卒業生か。」

二宮「…ども。」

俺は軽く会釈をしたが、河原崎は校長になにやらまくし立てて職員室向かって駆けて行った。

その後、通されたのは保健室。

二宮「お茶入れるって、校長室とか応接室とかじゃないの?」

鳴海「まあまあ、美味しいお茶をお入れしますから。」

綾野「あら、お茶を入れるのは校長先生じゃないでしょう? まるでご自分でされるような言い方なこと。」

パーテーションの向こうから顔を出したのは、白衣に身を包んだ、潤んだ目元が印象的な女性だった。

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