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10分屋【ARS・N】

第2章 ババ抜き

俺はモエモエの肩に右腕を回した。

そっと抱き寄せると、耳元でささやいた。

「ワタシ、モエモエに興味わいちゃったかも…。」

左手をモエモエのあごに添えて、こちらを向かせる。

「モエモエの魔法、すごいね…。どうやったらジョーカーの隣ばかり引けるの?」

モエモエはそばで見ると、抜けるような白い肌だった。

こいつ、よく見るとかわいいじゃん…。

どうせ俺のファンだろうから、食っちまうついでに種明かしさせるか…。

「ねぇ、教えてくれるなら、イイコトしてあげるよ…。」


俺はモエモエのつやつやした唇にくちづけようとした瞬間。

ガシャン!

その時、部屋の隅の棚に置いてあった花瓶が落ちて割れた。

え、触ってもないのに、何で!?

「カズくんの中に黒い悪魔が出てきたですお!モエモエは悪魔を退治するですお!」

モエモエの目が見る間につり上がり、ツインテールが逆立った。

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