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10分屋【ARS・N】

第5章 ゆるして

「兄ちゃんは、今までどこにいたの?キヌエずっと兄ちゃんの帰りを待っていたのよ。」

キヌエが頬をふくらませた。

「ごめんよ、キヌエ。」

キヌエの頭をなでてやった。

キヌエは、涙を一粒ポロリとこぼした。

「謝るのは、わたしの方…。兄ちゃんにわがまま言ってごめんなさい。水を汲んでって、わがまま言って…。」

キヌエはポロポロと泣き出した。

俺はキヌエの両肩に手を置いて、顔をのぞきこんだ。

「もう気にしなくていいよ。キヌエのせいじゃない。ほら、兄ちゃん元気にここにいるだろう?」

キヌエは俺の目をじっと見つめ、コクンとうなづいた。

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